無配本サンプルとか
そんなわけで改装しましたー。
改装作業は仲村さんが一晩でやってくれました(誇大表現) 仲村さん本当にありがとうありがとうお疲れ様でしたあああ(土下座)
さて、SCCの無料配布本が間に合いそうなので一応サンプルなどを置きに来ました。
無配でサンプルって何だって話ではあるんですが、内容がなんというかアホほど誰得すぎるので一応目安的に。
具体的には、冬組キャラ関連の小ネタ3本(会長ベストED後の会長と哉太話/ちっちゃくなった月子と会長話/桜士郎バッドエンド話)を集めた小説本(A5コピー/48P)になります。
仲村さんには扉絵的なものを三枚描いてもらいましたありがとう本当にありがとーうー!!
例によって内容は後日サイトに再掲する予定です。
で、今更ですがSCCは哉月スペースです。
そして机上に並ぶ新刊が哉月とメガネと誰得冬本というとんでもないカオスだと今気付きました。
もはやアウェー感がパネェ予感がしかしない。
あと仲村さんが何もしませんと言ってましたが先着でストラップ的なノベルティが付きます。
絵柄はトップページのインフォメバナーにあるやつです。よろしければもらったってくださいませー。
では誰得無配サンプルは続きから。
それと、Pixivの方にもサンプルを置いてまして、基本的にこのサイトのサンプルと中身は同じなのですが
メガネ新刊のみウフンアハン的な箇所のサンプルも置いてますので、参考にされたい18歳以上の方はそちらをどうぞ。→メガネ新刊Pixivサンプル
よーしプリンタさんの番をしつつ姫王やるどー!
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#「lucky bastard」(会長ベストED後の会長と哉太話)
夜の法律事務所に残っているのは不知火一人だった。
舞い込んできた厄介な案件とスケジュールそのものを詰め込んだおかげで、今日は徹夜が確定している。
夕方すぎに妻へその旨をメールしたところ、「無理しすぎないでくださいね」と返信があった。
そのため不知火は仮眠を視野に入れて資料との格闘を続けていたが、日付も変わっていない現時点で、既に仮眠は努力目標となりつつある。
資料に目を走らせながら、愛用のマグカップを口元で傾け、
「……っと」
その中身が空だったことに気付いたのは、三回ほどマグを傾け直した後だ。
苦笑を浮かべた不知火は資料の束を机に置き、コーヒーを淹れようと席を立つ。
――コンコン。
事務所の扉をノックする音が、給湯コーナーへ向かおうとする不知火の足を止めた。
時刻は既に夜半過ぎで、当然事務所の営業時間も終了している。扉には「CLOSED」の札だって出してあるはずだった。
「……?」
怪訝に思ったものの、事務所の灯りは煌々と点いているわけだから、外から見れば誰か事務所内に残っているのは明白だ。
客ではないにしても、中にいる人間に用事があるのだろうから、応対しないわけにはいかないだろう。
不知火はカップを手近なキャビネの上へ置き、何の返事もせず事務所のドアへと歩いていく。
扉越しに気配を窺うと、まだ相手はその場に居るようだった。
施錠を外し、不知火は――相手は客ではないのだろうから――ぞんざいにドアを開ける。
「はいはい、どちらさま……って」
開けたドアの先に、彼の見知った顔があった。
その表情は随分と固い。廊下の照明が落ちていて薄暗いせいで、そう見えただけかもしれなかったが。
「……七海」
「夜分遅くにすみません」
七海と呼ばれた相手はやはり固い声で失礼を詫び、しっかりと頭を下げた。
「別に構わないさ。まあ、入れよ。ちょうどコーヒー淹れるところだったんだ」
「……はい」
返事も表情も固いままの高校時代の後輩を招き入れ、不知火は事務所の扉を閉じた。
「ほらよ」
「どうも」
客用のカップとソーサーではなく、ただの紙コップに注いだそれを渡す。
そこまで気取った仲でもないというのと、後は単純にカップを出してくるのが面倒だっただけだ。
応接コーナーに腰を下ろした七海は一口コーヒーに口をつけて、それをテーブルの上に静かに置いた。
「……不知火先輩」
「何だ」
七海はひどく畏まった様子だった。
学生の頃から七海に慕われていた不知火だったが、今はそのときとはまた別の畏まり方をしている、そう感じた。
「今日は、これを渡しに来ました」
#「俺の月子がこんなにロリなわけがない」(ちっちゃくなった月子と会長話)
今、俺の目の前には不安そうな顔をした一人の少女がいる。
ワインレッドのワンピースを来て、長い髪の毛を二つに分けて三つ編みにし、それを耳の上あたりで結わえている――こういうのもツインテールって言うんだったか?
まあともかく、その服装も髪型も少女によく似合っていた。子供特有の愛くるしさが三割増、という意味で。
で、そんな少女の名前は夜久月子。
俺との関係を端的に言えば、恋人同士、だ。
……ああいや待ってくれ断じて俺はロリコンではないし犯罪的な行為に手を染めたりもしていない。
確かに目の前の月子はどう見てもロリでしかないが、彼女の実年齢は十九だ。もうすぐ成人する立派な女性だ。
何を言っているかわからないと思うがとにかくこれは事実であり現実だ。
そう――俺の彼女である二つ年下の夜久月子は、小学生ぐらいの姿になってしまっていた。
こんなことになった原因についてはもう言うまでもないような気がするが一応言っておくと翼のせいだ。
あいつはまたよくわからん飴を発明して、あろうことか月子に渡したのだ。置き土産だとか何とか言って。
だいたい月子も月子で、何でそのあからさまに怪しい飴を食べたりするかね。
そうぼやいたところ、だってせっかくもらったし自信作だって言ってたから……ときた。
翼の自信作で成功したものがあったか? とツッコんだらしょんぼり頭を垂れてごめんなさいとか言われた俺の身にもなってくれ。とりあえず翼は後で全力でシメるけどな。
肝心のその翼だが、アメリカへ留学していたあいつは先週から一時帰国していて、月子に置き土産を渡したその足で再びアメリカへ帰って行ったらしい。
今頃は飛行機の中だろう。
携帯もさっぱり繋がらないので、とにかく連絡が繋がるまで待つしかない状態だった。
以前翼が作った傍迷惑な飴は解毒用の飴が必要だったはずだが、月子によれば一定時間の経過で効果が切れるものもあるらしい。
……というか月子、以前にも同じような被害に遭ってたなら学習してくれ頼むから。
――ともあれ、状況を整理しよう。
月子が問題の飴を口にしたのは二時間ほど前。
翼を見送り自宅に戻ったところで飴を舐め始め、気が付くと身体が縮んでいたという。
その後、小さい頃の服を引っ張り出して身支度を調えた月子は、真っ直ぐに俺の所へとやって来た。
まあ、経緯としてはそんなところだ。
ただ幸いなことに彼女の自宅には誰もいなかったそうで、この非常識な現実に直面したのは俺と月子当人だけらしい。
しかし、こいつが訪ねてきた時は我が目を疑ったぜ。何せ出会った頃まんまの月子がそこに居たんだから。
俺は時計を見ながら、改めて計算してみた。
「二時間前に月子と別れて最速の便に乗ったとして……やっぱりまだ飛行機の中だな」
仮に向こうへ到着していたにしても、携帯が繋がらなければどうしようもない。
共に留学している木ノ瀬はアメリカに残っているとのことだったが、こちらも携帯が繋がらないためひとまずメールだけ送ったという状態だ。
結論として、今は待つ以外にできることはなさそうだった。
「さて、どうしたものか――」
#「いつか輝く月のように」(桜士郎バッドエンド話)
「白銀先輩!」
背後からの声に振り向くと、廊下をぱたぱたと駆けてくる少女が一人。
「あれマドンナちゃん。どしたの?」
「これ」
持っていた紙束を差し出して、息を整えながら彼女は微笑んだ。
「生徒会に届いた中に混ざってたんですけど、それって、新聞部でチェックするやつですよね」
受け取ったそれをめくる横で、彼女が付け足してくる。
「多分、卒業アルバム関連だから、うちの方にまとめて届いちゃったのかなって」
それは校閲用の用紙で、確かに新聞部が受け取るべきものだ。
まあ、自分はもう部長職は退いているのでこれといった作業はしてないんだけど、写真素材の提供って形で関わらざるを得なかったというか――自分も一応卒業生なんだけどね。
「ほんとだ。うん、そろそろこのゲラがあがってくるはずなのに来てなかったんだよね~ありがと、マドンナちゃん」
「いえ、そんな。これ、ちょっと見させてもらったんですけど、いい写真ばっかりですね」
「でしょ? でしょでしょ? もっと褒めてくれていいんだよ」
調子にのっておどけてみせると、彼女はくすりと笑ってから、それに悪ノリしてくれた。
「さすがは白銀先輩です」
「くひひ、あ~りがと~」
苦笑気味だった表情を一転させ、目をきらきらさせながら、力一杯情感が込められたその一言だけで――もう十分だった。
腹一杯というか、胸焼けしそうなくらい。
(……焼かれるのは、胸だけじゃなさそうだけどね)
だから、
「それじゃね、マドンナちゃん」
そこで話を打ち切って、さっさと歩き出す。
「あ……」
名残惜しそうな声――いや、きっと錯覚だ。そうに違いない。そうであってくれないと、困る。
「白銀先輩!」
だって、追いすがるような呼びかけを無視することなんて、できるはずもないんだから。
「ん?」
足を止めて、けれど首だけを後ろに向けて返事をする。
「あ、あの。こ……今週、いつでもいいんですけれど、夜に時間が空いてたりしませんか?」
「今週の、夜?」
復唱して聞き返すと、こくこくと彼女は頷いた。
「はい。あの、デジカメでも星空の写真が撮れるって聞いて……それで、その、できたらそれもアルバムに載せたいなって思って」
なるほどねえ。
ま、確かに最近の機種は性能いいのあるし、やれないことはなかったはずだ。
「……それを、良かったら、白銀先輩にレクチャーしてもらえると有難いなって」
うーん、確かに俺はカメラを持ち歩いてはいるけど、天体の撮影にはそれほど明るくないんだよね。お遊びで何度かやったことはあるけど。
まあ、デジカメでお手軽に撮れるレベルでいいんだったら、ちょっと調べればすぐできるか。
俺は返事の代わりに、一つの確認を投げた。
そうでありませんように、と祈りながら――けれどその裏で、そうならないことを確信してもいた。
「……それってさ、皆で、だよね」
「え?」
あーあ。もしかしなくてもビンゴっぽい。
「だから、一樹とか」
「あっあの……アルバムには、内緒で掲載したくて。皆忙しそうだし、だから、その……」
「忙しくなさそ~な暇人の俺に付き合え、と」
「っち、違います! あっいえ、違わない、ですけど……」
オロオロと慌て始める彼女を宥めるように――と同時に、突き放すような呆れた口調で――言った。
「どっちなのよ」
「……あの、だ、ダメですか」
身体を縮こませながら、上目遣いを向けてくる少女。
うーん、どこで覚えたのそういうの。ほんとにさ。
不安げに揺れる瞳を前に、俺ができたことといえばたったの一つ。
「……しょーがないなあ」
可憐な少女の頼みを無碍にするのは、さすがの俺も心苦しいし。
「わかった、いいよ。でも今回だけだよ? 特別にね」
「あ、ありがとうございます!」
ぱっと花が咲いたような笑みを浮かべて、律儀に頭を下げてくる彼女。
その笑みは、いつ見ても罪作りでしかないんだなと、今更ながら再認した。
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当然ながら冬PSPは未開封ですぎゃふん。
- Date 2011/05/01
- By 実月
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